こんにちは。
作業療法士のブログ、ふじいろブログです。
病院では患者さんの衣服が乱れている事がよくあります。
ケガをしたり、片麻痺を呈した患者さんはベッドの上から動けず、身体は固くなり、あちこちが痛くなったりします。
身体が動けない人では、衣服を整える事は困難さがあり、億劫に感じます。

トイレにも自由に行けない様な生活を私はしてるのに、服が乱れていることなど大した問題じゃないだろ
そう感じる方も多いと思います。
また病院で働く看護師さんや補助手さんも、多忙な中で患者さんの衣服の乱れを直すというのは、優先順位として低いものと考えざる終えない事かもしれません。
しかし衣服を整えるという事は、リハビリテーションの観点から見ると非常に重要な事です。
今回は衣服の乱れが身体に及ぼす影響と、衣服を整える事がなぜ身体の機能回復に重要なのかについてお話ししていきます。
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衣服の乱れは身体全身のイメージを悪くする

私達人間は、衣服がズレていると少し気持ちが悪い感じがすると思います。
例えばセーターの中でシャツの袖がたぐまるとイヤな感じがします。
ズボンを中心がズレた状態で履いたり、パンツのゴムが皮膚に食い込むのも、想像するだけで不快になります。
これら衣服が乱れる事の不快感は、身体全身を被う皮膚が異常を感じている表れです。
衣服は全身を覆い、人間は衣服の肌触りから、全身が快適な状態にあるのかどうか常に感知しています。
衣服と接触する全身の感覚によって
・自分の身体が変な姿勢をしていないか
・身体の周囲に強く当たっている物はないか
・座面や壁など接触面との間で異常な摩擦を生じていないか
などを察知しています。
しかし衣服が乱れたままの状態でいると、患者さんは自分の身体の状態、自分の周囲にある環境との関係が分かりにくくなります。
その為、姿勢が捻れていても気づかず、身体に変な力が入って痛くなる事があります。
またベッド上で寝ている事が多い場合は、身体とベッドの間の圧迫・摩擦力に気づきにくくなり、寝返りしにくくなったり、褥瘡(床ずれ)に繋がる事があります。
衣服の乱れは、感覚の乱れなのです。
グルーミング
動物は自分の身体管理の手段として、グルーミングという行為を行います。

猫では全身を舐めて、肉球のついた前足で顔を洗い、後ろ脚で首スジを掻いたりします。
猿は仲間同士で毛繕いを行います。

グルーミングは身体の清潔を保つという意味で重要ですが、もう一つ重要な役割があります。
その役割とは、全身を触っていく事によって自分自身の身体を感じ、全身のイメージを理解していく事だと言えます。
人間におけるグルーミング
人間も身体が痒いと掻いたりします。
寒い時は腕を擦ったり、身体が疲れて筋肉が固くなってくると背伸びをしたり、少し身体を動かしたりします。
また衣服のズレを直す、シャツの袖や裾を直すという動作もあります。
これらは無意識に行っている事が多く、人と話をしながら、時には歩きながら、他の事を考えながら、身体が勝手に動くように行っている事があります。
人間にみられるグルーミングに似た行動と言えます。

グルーミングが起こる=身体を感じている
例えば痒い所を掻く場合、蚊に刺された時は勿論ですが、服が少しズレている感触を痒いと感じる事があります。
腕や脚に生えている体毛が、衣服との摩擦でいつもと違う方向に少し逆撫でられているだけでも痒いと感じる事があるかも知れません。
そして痒みのある部位には、頭の中でそれ程考える間も無く、無意識の内に手を伸ばして掻いている事が多いです。
痒い感覚は脳に行き、すぐに反応するように身体に命令が行き対処しています。
つまりグルーミングができるという事は、身体の部位を感じている証拠と言えます。
衣服を自分で整える様になる=身体機能の向上
ケガをしたり、脳卒中を患い入院したばかりの患者さんは、身動きが取れない場合が多いです。
その時は自分の身体がどうなっているのか分からない状況であったりします。
衣服を直したり、グルーミングの様な動作を行うことは難しい状況でしょう。
身体の部位で発生しているであろう衣服のズレなど不快な感覚を無視し、運動も起こさない為、知らず知らずの内に全身は固くなっていきます。
しかし動ける様になってくると、自分の身体を掻いたり、髪をかき上げるなどの細かい仕草ができたり、衣服を自分で直せる様になっていきます。
それは身体の感覚を感じ、細かい運動のコントロールを起こす連続です。

衣服を整え、またグルーミングの様な身体を把握するような動きをする事は、全身のイメージの改善に繋がっていると言えます。
全身の感覚が整った身体は柔軟性を増し、スムーズに動くようになります。
立って歩く時のバランスにも、何をするにしても必ず良い影響があるのです。





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