【脳卒中】首の緊張緩和の重要性~片麻痺の痙性緩和にも繋がる~

頭・首

こんにちは。
作業療法士のブログ、ふじいろブログです。

首の周囲は痛めやすく、痛めると危ない為、リハビリ士も慎重に扱う部分です。

しかし首周囲の筋肉は全身の力の入れ方、姿勢に大きく関与します。

運動麻痺の人の場合は、痙性(肘が曲がる、足が強ばる)の状態にも大きく影響します。

治療上、非常に重要な部分です。

今回は首の緊張緩和についてお話していきます。

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運動は視線、頭の動きから起こる

振り向く女性

人間の運動は視線が動き、続いて頭の動き(ヘッドコントロール)が起こる事から始まると言えます。

動く時は、何か物体を目で見て、それから身体がその方向を向き、手を伸ばしたり、身体が移動して行きます。

視線の移動

→頭の動き(ヘッドコントロール)

→背骨の回旋

という一連が、多くの運動の初動だと言えます。

その為、首が固い状態では動きだしが困難になり、動作緩慢で腰が引け姿勢も歪んだものになりやすいです。

片麻痺の人の首

片麻痺の人の首周囲は、左右非対称な姿勢が目立つ事が多いです。

多くの人は、麻痺側の頭と肩の間の筋肉が短くなり、距離が狭くなっています。

麻痺側の首は固くなり、動きにくくなります。

麻痺側の顎(アゴ)の周囲も連動して筋肉が固くなり、「あーっ」と口を空けると、麻痺側の口は非麻痺側に比べ、空きにくくなっています。

片麻痺ではないが左側が空きづらい

顎の固さは口の中の固さに影響し、舌や唇も動きにくくなり、麻痺側から流涎(ヨダレが垂れる)がある事もあります。

さらに表情筋も首の筋肉とつながっています。
感情表現に困難さが出る方もいます。

首周囲の固い状態は、ヘッドコントロールの困難さから始まり、あらゆる運動や活動の問題に繋がっていると言えます。

首の理想的な姿勢とは

背骨の上に頭が乗っかる姿勢が良い

人間は他の動物と比べ、身体に対する頭の大きさが極端に大きいです。

その割に首は細く、同じ霊長類のゴリラと比較すると首の太さに歴然とした差があります。

これは人間が頭を筋力で支えているのではなく、頭を背骨の上に乗せてコントロールしている事で支えている表れと言えます。

ゴリラは太い首で前方にある頭を持ち上げていますが、人間はバランスを取るように頭を背骨の上に乗っけています。

猫背の人、あるいはデスクワークが多い人は頭が身体に対して前にある為、首に負担をかけやすいと言えます。

立っている、もしくは座っている時は、背すじを伸ばし、背骨の上に頭がまっすぐに乗り、なおかつ肩の力の抜けた状態となる姿勢が望ましいです。

頭が背骨に乗った姿勢は、視線の動きとして回りが見渡しやすく、声が出やすく、またご飯を食べても咀嚼(そしゃく)や飲み込みがしやすい状態と言え、医療・福祉・介護の現場でも望ましい姿勢と言えます。

顎(アゴ)が引けていると首が固くなっているサイン

患者さんに多く見られる姿勢として、顎を引いている様な姿勢があります。

顎の下には、食べ物を飲み込んだり、声を出す為の器官(舌の付け根の舌骨、声帯のある喉頭)がありますが、小さい筋肉がワイヤーを張り巡らす様に存在し、それらが連動して働く事で機能しています。

しかし顎の先(オトガイ)と舌骨・喉頭の間の距離が短い患者さんの姿勢は、これらの筋肉が固く張り積めた状態と言えます。

食べ物を良く噛んで飲み込む事や、また声を出しやすい状態にする為には、顎と喉仏の間は距離が長く緩んでいる状態の方が、筋肉が働きやすい理想的な状態と言えます。

首が固まっている患者さんにできること

病院の風景

病院では、ベッド上寝たきりの脳卒中患者さんが、仰向けの姿勢で頭を後ろの枕に押し付ける様に力が入ってしまい、首が固くなっている様子を良く目にします。

その状態の患者さんは、多くは口が開けっ放しで、顎(アゴ)の回りも力が入り固くなっています。

喉も筋肉が張り積めている為、嚥下反射が起きず唾液を飲み込む事もできません。

口は空いたままで乾燥していきます。

首の回りは全体的に力が入り、目線も上を向きやすいです。

この状態になった患者さんは、手足を思うように動かせるという方はまずいません。

リハビリに出きること

リハビリに出きることは何か。

それは、首の緊張緩和を図る事です。

アプローチとしては、頭を覆う帽状筋膜をほぐしたり、顎の周囲、体幹をマッサージしたりします。

良かったら下の記事で、頭部や顎周囲のマッサージ方法を一部紹介してますのでご覧下さい。

下の記事は頭痛への対処という内容でまとめていますが、紹介しているマッサージは片麻痺の人の緊張緩和にも有効です。

片手では出来ない為、ご家族等にやってもらうと良いです。
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また首の緊張を和らげる方法として、患者さんの寝ているベッドをギャッジアップ(頭の方を上げる)するというのも方法の一つです。

ベッドを上げる事で、頭で押して支えている分の体重を少し背中やお尻に乗せる事ができる為、首筋が楽になることがあります。

首周囲が緩むと空いた口が閉じて、モゴモゴと口を動かす様子が見られたりします。

そうすると口の潤いが戻ってきます。

そして唾液が口の中に増えてきて、「ゴックン」と嚥下反射が起これば、首が全体的に緩んでくる良い兆候と言えます。

首のベッドへの押し付ける力が軽減すると、身体の真から力が抜けた様に、全身が柔らかくなります。
呼吸も深くなり、楽に出来るようになります。

周りを見る様な視線の動きが増えたり、ヘッドコントロールが出来てきたら、覚醒が少し改善してきてる証拠です。

上を向く猫

手足が動くこと。

食べて話すこと。

周りを見渡して情報収集すること。

人が人間らしく生きる為には、「楽に自由に動く首」が必要不可欠です。

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