【片麻痺】運動を困難にする視覚の影響

視覚

こんにちは。
作業療法士のブログ、ふじいろブログです。

片麻痺の人は、半身の手足が動かなくなる以外に様々な要因があり、運動の困難さを抱えています。

感覚障害の影響であったり、痙性(手足が強張る現象)、連合運動(麻痺側とは反対側の手足が力んでしまう)など、運動を困難にする要因は様々です。

その中でも意識されにくい、運動を阻害する非常に大きな要因があります。

それは、視覚効果(視覚認知の問題)です。

今回は視覚効果についてまとめます。

これを知ることで、身体に不自由を抱える人の運動の改善につながるかもしれません。

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高い所はより高く、低い所はより低く

身体に不自由を抱える人は、高い所はより高く、低い所はより低く感じます。

片麻痺の人の動作では、階段を下りる時など下を見る時には、頭を高い位置に保ち、視線だけ下に向かう様な、固い身体の印象がある動作になります。

何か掴もうと手を伸ばす際は、(彼は)身体が後ろに引けながら手を伸ばします。
身体が前に倒れない様に、後ろに引き止める反応が過剰に起こってしまいます。

オーバーな言い方かもしれませんが、(彼が)下を見下ろす際は、断崖絶壁から見下ろす様な感覚があります。
また手を伸ばす際は、剣山や煮えたぎる溶岩の上を通って手を伸ばす様な恐怖感があると言えます。

人間の見え方

人間は近くの物が大きく極め細かく見え、遠くの物が小さく極めが粗く見えます。

この大きさの変化と極めの変化から距離が分かる為、私達は片目でもある程度、距離を感じる事が出来ます。

また人間は自分と周りの物との位置関係で、自分がいる位置が分かります。

歩いて移動する時、周りの物との位置関係がどんどん変化していきますが、それにより自分が進んでいることを知覚することが出来ます。

ギブソンは人間の見え方の知覚として、面・縁・形・隙間によって構成されていると著書に記しています。

周りに何も無い空間よりも、構造物が多くある空間の方が、視覚的な運動の手掛かりが増える為、動きやすくなるのです。

例えば手を伸ばす際も、棚や椅子などの構造物が近くにあり視野に入った状態で手を伸ばす方が、動作が楽にスムーズになります。

コップまでの空間に物があった方が、視覚効果としてはコップまでの距離が分かりやすい。

周辺視野

人間は視野の真ん中で物を見ます。

文字を読んだり、良く観察することは視野の中心でしかできません。

しかし私たちは移動をしたり自分のいる空間を理解する為には、周辺視野の存在が欠かせません。

私たちは周りにぼんやりと見えている周辺視野から沢山の情報を得て、意識する間もなく身体が反応して運動が起こっています。

壁からも発生する視覚効果があります。

初めて行く建物の壁は、とても無機質な印象を感じる事があります。

皆さんも、例えばバランスを崩しそうになった時、その様な壁には触ろうとする発想は起こりにくいと思います。

無意識的に壁を頼りにできない状態があります。

病院で患者さんが歩いているのを観察していると、段々と壁から離れて行く方がいますが、きっと壁から圧迫感の様なものを感じているのだろうと推察します。

しかし私達は家の中の壁には親しみがあり、安心感を感じます。

何度も通り過ぎた事のある家の壁については、私達はそれに触ったことがあるかもしれませんし、良く知っています。

家の壁の側で動作を行う時には、リラックスしてスムーズな動作が行いやすいです。

視覚効果のリハビリへの応用

身の回りの構造物を良く知ることは、身体がスムーズに動くことを助けます。

例えば壁を触って感じる事で、壁と自分の身体の位置関係が分かりやすくなり、リラックスした歩行につながる事があります。

曲がり角を曲がるのが苦手な方は、その曲がり角を良く観たり、撫でたりするとスムーズに曲がれる様になるかもしれません。

人間の移動する時の感覚の9割は視覚によるものだと言われています。

人間は視覚的な生き物です。

周囲の見え方は、私達の身体の緊張の状態や運動に大きく作用しています。

参考文献:
視覚ワールドの知覚 ジェームズ・J・ギブソン 新曜社
環境適応 柏木正好 青海社

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