こんにちは。
作業療法士のブログ、ふじいろブログです。
片麻痺の人は、左右非対称な姿勢になりやすいです。
その非対称のきっかけは体幹の姿勢から起こる事が多く、身体の末端である麻痺側手足のねじれた姿勢にもつながります。
今回は全身の姿勢を改善する為の少しユニークな方法を提案します。
片麻痺の方の全身の姿勢改善に役立てて頂ければ幸いです。
麻痺側のお尻は引き伸ばされている
下は片麻痺の方が歩行している場面で、右足を前に出そうとしている瞬間の写真です。

左片麻痺の方ですが、非常にバランス良く歩行ができる様に機能向上しているとお見受けします。
しかし若干ではありますが、片麻痺特有の姿勢がみられます。
少し麻痺側のお尻が後ろに引けて、麻痺側のお尻が全体として広がった姿勢になっている印象です。
これはお尻を覆っている大臀筋が引き伸ばされている事を表しています。
お尻の下の線を臀裂と言いますが、麻痺側の方が下に下がっていると言えます。

片麻痺の人の座面
片麻痺の人の座面の圧力の分布を圧力計で計測すると、非麻痺側(右側)はお尻の内側の狭い範囲で接地しているのに対して、麻痺側(左側)は外側に広がる様に、広い範囲で接地しています。
下の図は圧力計モニター画像を模倣して書いた図です。

これは、片麻痺の人の重心が麻痺側に寄りやすい事を表しています。
また黄色の点は座骨の位置を表しています。
非麻痺側の座骨は内側に引かれて、麻痺側の座骨は外側に位置しています。
この座面のパターンは、多くの片麻痺の人に共通して観られる姿勢だと考えます。
つまり、この座面の様子から片麻痺の人の重心は麻痺側にズレやすく、お尻の皮膚や肉は、逆にお尻の下に引き込まれた姿勢になりやすいです。(矢印の方向)
お尻の状態は、全身の運動に影響する
体幹(お尻を含む)の左右非対称は、その末端である手足の左右非対称を助長します。
例えば座面の肉がズレた状態のまま足を片足ずつ上げても、麻痺側の足をあげる際には、足の姿勢は捻れた姿勢となってしまいます。
上半身を動かそうとしても、麻痺側の体幹が後ろに引けてしまって、麻痺側の手も前に伸ばす事などが難しくなります。
また歩行においても、このお尻の肉(大臀筋)が引き伸ばされてズレた状態で行えば、股関節の伸展が起こらずに、麻痺側の足で立って踏ん張る時にお尻が後ろに引けてしまいます。
姿勢の非対称は無意識に起こる

お尻の位置がズレている、引っ張られていると感じていません。
そう思う方も多くいると思います。
本当に姿勢が良くなっていて、左右差が少なくなっている人もいるかもしれません。
しかし、姿勢は無意識にコントロールされていて、自分のイメージとは少し違う姿勢をとっている事が多くあります。
個人差はあるかも知れませんが、実際に圧力計で座面の圧を計測したり、座骨の位置を左右で比べたりすると、以外とずれている事があるものです。
大臀筋の姿勢改善の為のユニークな方法
セラピストが行うリハビリ場面では、大臀筋のアライメントを修正する様々な徒手介入の方法があります。
しかし、その徒手介入の内容を片麻痺の患者さん自身で実施するのは困難であると考えます。
その為、以下の方法を考案しました。
座る時に、麻痺側のお尻が下に引き込まれる様にズレやすい訳ですから、反対に麻痺側のお尻の肉を外側に引っかける様に座るとアライメントが整うはずです。
また麻痺側のお尻の肉は、臀裂(お尻の下の線)が下に下がる姿勢になりやすい為、逆に臀裂が下から上に上がる様に、座る時は前から後ろに引っかける様に座ると良いのではないでしょうか?

矢印の方向に、お尻を座面に引っかける様に座ってみましょう。
そしてその状態で骨盤を前後に動かしたり、机上の活動を行うなどします。
実際にやってみましょう。
そうすると背筋が伸びて動きやすくなるのではないでしょうか?
後ろから観た時に、麻痺側のお尻の肉がプリっと集まりボリュームが出ている様な姿勢がとれたら、大臀筋のアライメントが整い働きやすい姿勢と言えます。
この姿勢で手のリーチを行えば、バランスがとりやすい状態だと考えます。
座面は重心移動を感じる装置
人は座った状態で動く時、体重移動に伴って座面の圧力の位置も移り変わっていき、その圧力の変化の感覚を頼りに運動をコントロールします。
お尻の皮膚や肉のアライメントを整える事で、座面からの感覚情報も整い、全身の運動が行いやすくなるのです。
また臀筋のアライメントを整えた後の歩行も、股関節の伸展が起こりやすく、安定して効率の良いものになると考えます。

片麻痺の方の姿勢には、共通した特有のパターンがあります。
そのパターンを理解し、改善方法を生活動作や自主トレーニングに取り入れていく事が、片麻痺の方の「スムーズで楽な動かしやすい身体」への近道かもしれません。





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